静岡県と長野県の境にある青崩峠(あおくずれとうげ)まで足を運んだ。青崩峠というのはけっこう前から知っていて、そのインパクトのある名前と国道152号線が峠を境に分断されているという知識から一度は訪ねてみたいと思っていたのだ。
静岡県側から峠を目指すことにして足神神社前の駐車場にクルマを停めて歩き出す。
足神の名前の通りに足の神様が祀られている。起源は鎌倉時代、北条時頼にまで遡るらしい。遠州と信州を峠を行き来していた旅人は旅の無事を祈ったのだろう。
しばらく歩くとしっぺい太郎の墓がある。太郎と言っても人間ではなくて昔話に登場する犬である。早太郎と呼ばれていたりもする。僕も太郎なんだけど強くて勇気があって大違いである。僕が夜中にラジオで聞いたときは元の寺に戻って息絶えた、という話だったんだけど、峠は越えられなかったか。それだけ当時の旅人には厳しい峠だったのだろう。
すぐ木地屋の墓があらわれる。木地屋というのは木工職人のこと。
青崩峠(標高1,082m)に到着。向こう側は長野、いや信州だ。信州の谷から吹き上げてくる風は切るように冷たい。
峠から見える青っぽいガレが峠の名前の由来になった。まさに今も崩壊中で岩が転がりぶつかる乾いた音が響く。
峠から遠州側を眺める。遙か先まで山々が続き雲はどこまでも高い。
足下に目をやると落ち葉に霜がついて日陰だと昼になっても熔けずに残っていた。
峠から西側に少し登って標高1300mあたりから信州側を望む。ひときわ大きい聖岳(ひじりだけ)を先頭に南アルプスは白く輝いていた。ここで今日は折り返した。

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